カテゴリー別アーカイブ: ●遺産分割、相続

贈与するなら孫や嫁に–

相続対策として贈与を考えている人は、贈与する相手を考えることも必要だ。

贈与した後、3年以内に相続となると、贈与税を支払っていたか否かに関係なく相続財産に含まれる(持ち戻される)ことがあるからだ。

国税庁タックスアンサー(贈与財産の加算と税額控除)3年以内贈与財産の加算

法定相続人に贈与した場合には貸さされることになってしまう。
高い贈与税を負担したのなら、踏んだり蹴ったり--

そのため、「贈与するなら法定相続人でない孫や嫁に渡したら—–」ということになるわけだ。
あるいは、健康に注意して4年以上長生きする方が良い。

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公正証書遺言が増えている

権利意識が高まったのか、ネットの普及により公正証書の有効性が知れ渡ったのか、公正証書遺言が増えている。
公正証書遺言作成数
この20年間に倍増している。
死亡される方は年間約125万人。
相続税の対象になるのが4~5%。5ないし6万人だろうから、相続税の対象にならない人にも普及しはじめたと言えよう。

もちろん、相続税の課税限度以下の家族でも相続に伴う争いは多いのだから、当然のことかもしれない。

実際、調停等では遺産が5千万円以下の事件が7割以上を占めている司法統計これまで相続人が2人であれば遺産総額7千万円まで相続税申告不要であった。5千万円以下であれば税務署は関与しない少額事件が、争いの多くである。

公正証書遺言があれば、自筆証書遺言に予想される次のような混乱は避けられる。
・形式不備のために遺言として認められない
・本人が認知症等のため、意志能力が認められない
・遺言が隠されてしまう(改ざんされてしまう)

しかし、そのような遺言があっても、相続人には遺留分制度がある。
公正証書遺言があっても、遺留分請求事件は起こせるし、実際に民事訴訟になるケースも多い。

従って。混乱を避けようとするのなら、公正証書作成に加えて
『遺留分に見合うモノとして○○には××を相続させる(あるいは既に渡してある)』と追記するべきであろう。

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固定資産税課税の誤りはどれくらい?

固定資産税課税の間違いについて総務省のデータがある。
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これを見ると、平成21年から23年の3年間に、回答した市町村の内毎年93%、累計では97%の市町村に誤りがあったという。

ほとんどの市町村に何らかのミスがあった。『人間のすることだから、間違いはつきもの』ということだろうか。

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土地売却の寄与分

母親の遺産は、長男の住む自宅(相続税評価約2000万円)と預金5000万円。

相続人は兄と妹の二人だけ、申立人の長女は不動産を希望しない、ということなので、『解決しやすい案件』と思いました。

調停が始まると、思いの外厳しい言葉の応酬が待っていました。 続きを読む

自営業の事業承継

日経新聞によると、政府は自営業者の後継者対策に乗り出した。
自営業の事業承継
(2015.1.26日経新聞)

跡継ぎがいないために廃業する中小企業、商店主が多いのが地方都市の現状だから、
遅まきながら、というところだが
モデルとなっている農家の納税猶予と同様になるのであろうか。

中小企業の事業承継は中小企業庁の認定が厳しく、また5年間社員の雇用を守らなければならないなど、使いにくい税制だった。

税制とともに、後継者への支援策も考えないと、一部の人にしか使えない政策がもうひとつ増えた、と言われないだろうか。

事業承継

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リバースモーゲージ

自分の持ち家も資産価値のある不動産。しかし住んでいる内は自宅を売るわけにもいかない。
住宅ローンとは逆に、住まなくなったとき(自分の相続時に)売却することで一括返済するリバースモーゲージローン。

これまでは、一部の地方銀行、信金など、あるいは武蔵野市や都道府県社会福祉協議会でしか行われていなかった。
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○トク技と言うけれど

日経トレンディ2015.2では、贈与信託を取り上げていた。
地価下落地点ゼロに(1129日経)贈与信託(日経2015.2トレンディ)

毎年の贈与非課税枠を有効に使おう、と言う人はいるけれど、なかなか忘れてしまう。
かといって、毎年一定額を定期的に送ることにすると、税務署は否認することになる。
『毎年、一定額を計画したのであれば、計画をした時点で全ての合計額の贈与があった、と見なします』

信託銀行も税務署の対応は当然予測し、対策を考えているだろう。
毎年、贈与する人に連絡するらしい。連絡に応じて贈与額を決める仕組みとするらしい。
しかし、認知症になってしまったらどうなるのだろうか。

契約当初の計画通りにしていては税務署が否認するだろうし、
認知症になってからの贈与は相続人官のトラブルの下にもなりかねない。

いずれにしてもコマ目に長い期間をかけて資産を分散する方法が税金を減らす特効薬なのだろう。

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実家の土地を残して欲しい

家を出た子どもたちの中には、「○○が家を継ぐのは良いが、売られては困る。だから遺産分割には応じない」という人がいます。

世間には、『遺産分割後に土地を売り東京のマンションに引っ越してしまった』とか、『数年して長男が死亡、遺産は全て嫁さんのモノになったら処分してしまった』とか、
実家の土地がが人手に渡り、なくなってしまうことがあります。相続発生時には相続共有として、相続人全員の合意がなければ処分ができません。
しかし、遺産分割が終了すれば、その不動産は取得した人が自由に処分できます。
兄弟でも、口を挟むことはできません。

そのため、遺産分割協議の中で次のようなことを主張する人が出てくるわけです。 続きを読む

親の介護と相続

親の面倒を見た息子に辛い相続争いが待っていた。

Aさんは長男。弟と妹が居る。
一人で住んでいた母親も年齢とともに弱ってきた。一人住まいではなにかと不安
と考え、母親はAさんの意見を受け入れ、老人ホームに入居した。
父親が残してくれた預金と年金があるから、当面の生活は困らない。
おカネのことはAさんが取り仕切ることになった。

やがて10年が経ち、母親は亡くなり、Aさんは相続を考えることになった。
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