カテゴリー別アーカイブ: ●鑑定士が役立つこと

不動産鑑定士補

「不動産鑑定士」のほかに「不動産鑑定士補」という資格もある。
昭和39年制定された「不動産鑑定評価に関する法律」には、不動産鑑定士のほかに士補という資格も用意されていた。
不動産鑑定士は第2次試験と第3次試験の二つの関門があり、第3次試験に合格しなければ不動産鑑定士登録はできない。
不動産鑑定は実務能力が要求されるため、実務経験がない(座学だけの)合格者は認められない。
かといって、実務経験者は少なかったため、試験導入時に、単独では鑑定評価業務は行えないが、それに準ずる資格として『士補』を認めたのである。
その結果、2次試験合格者で実務経験2年以上のものは『不動産鑑定士補』として登録ができた。

試験制度の改正により、2006年からは第3次試験がなくなり、鑑定士試験+実務修習(修了考査)によって不動産鑑定士が生まれることになった。
したがって、2006年以降、不動産鑑定士補が増えることはなくなった。
当時、不動産鑑定士補の資格者は、全国で2千人程度いたらしい。
2007年の不動産鑑定協会会員5,990人のうち、不動産鑑定士補は727人、
鑑定実務に携わっていない合格者(官庁、金融機関、事業会社勤務者等)は鑑定協会に入っていないし、その人たちは実務経験を積む機会もなかったから鑑定士補登録しかできなかった。
いつまでも3次試験の受験資格が得られず、不動産鑑定士に慣れなかった人が多かったと思う。
そうした不動産鑑定士補は、試験制度改革に伴い第三次試験を合格するのではなく実務修習(修了考査)を受けることによって不動産鑑定士となることが認められた。
実務に携わっている不動産鑑定士補の多くは、この経過処置によって不動産鑑定士になったと聞く。

それから18年経過した。
国交省のホームページを見ると、2024年1月1日現在 全国では1,187人の不動産鑑定士補がいる。
不動産鑑定士登録状況
今も、不動産鑑定士補は全国に1,200人近くいるのだろうか?
鑑定士試験制度が始まって60年、多くの人は既に鬼籍に入っているのではないだろうか
そして、本人が死亡しても第19条の(死亡等の届出)第20条の(国交省による登録の消除)がなされず、そのままになっているのではないか
9,800人と1万人近い有資格者がいるとはいっても、そのうち12%位は既に幽霊資格者になっているのが現実ならば、不動産鑑定業界も寂しい限りである。

「(有)埼玉不動産鑑定所」は日本でもっとも古い不動産鑑定会社です」
鑑定業者情報(国交省2015登録順)  

能登半島地震災害支援活動報告(抄)

この6月から7月 能登半島珠洲市を中心に災害支援をしてきました。
被災した建物の状況を調査する「住家被害認定調査」です。

被災地の現状は、半年経ったのに、ほとんど手つかずの状態と言えます。
被災した住民のうち、半数の人は避難をしています。
それも金沢市を中心として、生まれ育った珠洲市からは遠く離れた地に暮らしています。
やがて、子どもは育っていき、働く大人も新しい生活に慣れていきます。

珠洲市に戻る人はどのくらいでしょうか。
国や県の災害支援により、建設業はこれから10年間「嫌になるほどの仕事」があるそうですが、
インフラや公営住宅が整備されても、昔の賑わいは期待できない気がします。

土地の価格も、現在の価格を維持するのはごくわずかの地域、ほとんどが下がってしまうでしょう。」

令和6年能登半島地震災害支援活動報告(抄)

最高裁判所長官表彰状をいただきました

平成6年10月に家事調停委員を任命されてから,28年経過しました。
このたび、最高裁判所の長官表彰状が送られてきました。
高等裁判所長官表彰の時には、霞ヶ関庁舎に集合して手渡されましたが、新型コロナ感染症の関係でしょうか、郵便局経由でした。

健康で大過なく勤めてきたお褒めの証と有り難く頂戴しました。

一説には,15年以上の間に200件以上の事件を担当することが最高裁長官表彰の条件、のようですが、私の場合、10年前に既にクリアされています。
最高裁判所長官表彰状

不動産鑑定士 今西 芳夫

 

芳夫2022

(有)埼玉不動産鑑定所 所長

2023年 6月 5日 埼玉調停協会連合会表彰  (調停委員功労)
2022年10月28日 最高裁判所長官表彰  (調停委員功労)
2022年 4月29日 春の叙勲 旭日双光章 (不動産鑑定業功労)      
2018年~2020年 川越調停協会会長
         埼玉調停協会副会長 
2017年10月12日 
東京高等裁判所長官表彰
2017年~2021年 (公社)日本不動産鑑定士協会連合会 副会長 総務財務委員長
2017年6月20日  国土交通大臣表彰
2017年~    (公社)小江戸川越観光協会 理事 
2017年~2019年 川越調停協会 副会長
2015年~2017年 関東甲信不動産鑑定士協会連合会 会長
2013年~2015年(公社)日本不動産鑑定士協会連合会公的土地評価委員会委員長
2011年~2013年(公社)日本不動産鑑定士協会連合会鑑定評価業務適正化特別委員長
2012年~2017年(公社)日本不動産鑑定士協会連合会 常務理事
2009年~2011年(社)日本不動産鑑定協会常務理事(法務鑑定委員長)
2007年~2009年 (社)埼玉県不動産鑑定士協会 会長
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相続税対策と共有

マンションやビルが建ち始めた商業地に自宅を構えている人は、相続税対策をしないと相続税の納付が難しい、と言われてきた。
私も不動産鑑定士として、図の左側のような土地が自宅である人には、『表の土地の路線価評価は高い。しかしながら路地の奥の土地(乙地)となる自宅は評価を下げることができるから、前の土地(甲地)は月極駐車場として第三者に貸しましょう』と提案し、節税になったと依頼者に喜ばれてきた。

平成30年以降の地積規模の大きな宅地評価は500㎡以上だから、別の節税方法もあることに気づいた。

相続人が配偶者(妻)のほか息子一人という家族構成とすると、図の左の自宅土地建物を図の右のように分割(分筆して置ければその方が面積確定して申告時の説明が容易)し
甲地を第三者への月極駐車場としてきた。
これまでのプランBでは、息子の取得する甲地の評価が2億5,620万円。奥の自宅土地を配偶者が取得し評価2億1,090万円だが、配偶者は2分の1まで非課税とするとほぼ非課税です、と説明してきた。

そこで、地積規模の大きな宅地評価法も活用できないか、考えてみた。ここでは他の条件(工専地域でない、等)はクリアしていることとする。
適用条件の地積規模が大きいか否かは500㎡以上か否かであるから、プランBでは対象外であるが、プランAなら対象となる。
プランAで母親と息子の共有持ち分を2分の1ずつとし、将来の分割後の面積をプランBと同じとすると、

地積840㎡の評価額は4億121万円。ただし小規模住宅の特例が使えるため330㎡までは8割減になり評価額は2億7511万円となる。
配偶者の相続分2分の1は非課税。息子の取得分の1億3756万円に対して課税される。

相続手続きが一段落してから、甲地と乙地に分割した後、甲地を長男が、乙地を母親の単独所有とする共有物分割をすることにする。
この場合のミソは甲地と乙地の面積を同面積とすること
最高裁判例で『不動産取得税の計算上、(利用が変化しないのなら)共有物分割は共有持ち分割合で面積案分する』というものが出ているから
これを適用する。

乙地を取得した母親の土地は、母親の相続時には表の道路に一部しか接面しない奥の土地であり、ビル用地とはなり得ないから評価も低い。

結果として、小規模住宅特例も使えば母親の相続時はかなり節税になるだろう。

注意しておかなければならないのは、地積が500㎡以上あること。そして、相続人が妻と子ども一人が望ましい、ということだ。
なぜなら、配偶者がいることが配偶者控除と小規模住宅特例の二つを適用できる必要条件であり、なにより遺産分割の紛争が起きにくいからだ。

鑑定評価は、埼玉不動産鑑定所へ

不動産鑑定士 全国から集まる

川越祭を翌日に控えた10月19日(金)川越プリンスホテルで、不動産鑑定シンポジウムが行われた。

不動産鑑定シンポジウムin川越

全国から270名の不動産鑑定士が集まり、『オリンピック開催の地価への影響』を論議した。

翌日は川越祭、全国各地からやってきた不動産鑑定士に川越祭を堪能してもらおう。

中古住宅に履歴書

国土交通省は既存住宅流通に力を入れている。
欧米に比べて、日本では新築物件への人気が高く、既存(中古)住宅は「20年経った中古はタダ」と言われ、住宅資産の適正な評価がされないという声が多かった。
手入れが悪く、資産価値の低い建物はともかくとして、高額な資産である建物が適切に評価されないのはおかしいこと。
それぞれの建物にIDを付け、取引や修繕のたびに履歴を付けていくらしい。
鑑定士協会連合会でも、「住宅ファイル制度」導入を提言している。
「流通の暗黒大陸」不動産市場の見える化に進めば喜ばしいことである。
中古住宅に履歴書(日経20180908)

埼玉県不動産鑑定士協会 川越市と住家被害認定調査協定調印式

埼玉県内の不動産鑑定士がほとんど所属する公益社団法人 埼玉県不動産鑑定士協会は、8月28日川越市と住家被害認定調査に関して災害援助協定を結んだ。

川越市住家被害認定調査協定

この夏の西日本水害などでは多くの家屋が大きな被害を受けた。災害に遭った人は、固定資産税や住民税の減免の外、義援金、補助金などを受けることができるが、その前提となるのは、罹災証明書である。
罹災証明書は、住家被害認定調査により、全壊、大規模半壊、半壊に相当することが明らかになって、初めて発行される。

しかし、災害が発生すると、同時、大量、広範囲に被害が広がる。被災者への対応は生活全般に関わるから、いくら人手があっても足りない。しかも災害時の対応を熟知している人はごく僅か。
そこで、普段、建物を調査対象としてなじみがある不動産鑑定士がお役に立てられるのでは、と考えたのが、住家被害認定調査を担うこと。
行うのは大きく分けて3つ
(1)住家被害の現場調査
(2)災害支援に駆けつけた他市や他部門の市町村職員に対し、住家被害認定調査の具体的レクチャ
(3)2次調査を含めた住民への相談、対応

現場調査をして、報告書を書けばおしまいではない。
不幸にして起きてしまった災害の被災者に対し、少しでも寄り添い、困惑を安心に変えられれば、と願うものである。

鑑定評価は、埼玉不動産鑑定所へ

連合会も災害被災地支援に力を注ぐ

6月の大阪北部地震に次いで、7月には平成最大の水害が西日本を襲った。
不動産鑑定士も地元の鑑定士を中心に災害支援に汗を流している。

とはいえ、若者の少ない不動産鑑定士は、被災者支援といっても片付けのボランティアはできない。
災害を受けた住民が住宅、融資、義援金などの支援を受けるために最初に求めるのが、罹災証明。
市町村税務課が調査し、罹災証明発行に当たるが、普段予定していない仕事、発行のための総務省のマニュアルはあっても人も能力も足りない。
そこで、日頃、固定資産評価に関係し、不動産調査に慣れている不動産鑑定士が住宅調査を行い、被害の程度を判定、罹災証明発行の資料を作ることになった。

既に、2年前の熊本県南阿蘇村を皮切りに、6月の大阪府茨木市、愛媛県、岡山県、広島県に不動産鑑定士が支援している。

もちろん、地元鑑定士だけで今回の被災地はカバーしきれない。
熊本での調査経験がある東京の鑑定士を中心に全国から鑑定士が送り込まれている。
当然、交通費や現地宿泊費がかかる。災害が大きいほど、期間も長く、経費も大きくなる。

そこで、現地まで行って災害支援できない人間として、いささかなりとも支援を形に表そうと、それらの経費を賄う基金ができた。

一口3千円、誰でもできる支援。
経費は、やがて決算(所得税申告)時に控除される
もちろん、会員の不動産鑑定士に限られるわけではない。国民誰もが支援していただけるのはありがたい。

支援の汗を流せる人は汗を流そう。知恵を出せる人は知恵を出そう。それもできなければ、僅かでもお金を出して支援に参加しよう。

(特定寄付金)
全国の鑑定士仲間にお願いします。
1人でも多くの不動産鑑定士が、自分たちのできるところから災害被災地支援の輪を広げましょう。

災害対策

6月の大阪北部地震に次いで、7月上旬から西日本の各地で豪雨災害が起こった。

日本不動産鑑定士協会連合会も、熊本地震災害時に南阿蘇村の住家被害認定調査を支援した。
今回の地震災害には、茨木市に対し、地元大阪の外、東京、京都、岡山、福岡など各地の不動産鑑定士が携わった。

茨木市の調査が終わらないうちに豪雨災害が起きてしまったことと、被災地が広範囲にわたっているため、
こんどは、西日本を中心に全国の鑑定士に呼びかけなければ行けなくなっている。

ありがたいことに、埼玉県は大きな災害が起きていない。とはいえ、災害はいつ、どこで起こるか分からない。

いつでも動けるように、携帯ヘルメットや手袋、安全靴などを用意することにした。

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