権利意識が高まったのか、ネットの普及により公正証書の有効性が知れ渡ったのか、公正証書遺言が増えている。
この20年間に倍増している。
死亡される方は年間約125万人。
相続税の対象になるのが4~5%。5ないし6万人だろうから、相続税の対象にならない人にも普及しはじめたと言えよう。
もちろん、相続税の課税限度以下の家族でも相続に伴う争いは多いのだから、当然のことかもしれない。
実際、調停等では遺産が5千万円以下の事件が7割以上を占めている司法統計これまで相続人が2人であれば遺産総額7千万円まで相続税申告不要であった。5千万円以下であれば税務署は関与しない少額事件が、争いの多くである。
公正証書遺言があれば、自筆証書遺言に予想される次のような混乱は避けられる。
・形式不備のために遺言として認められない
・本人が認知症等のため、意志能力が認められない
・遺言が隠されてしまう(改ざんされてしまう)
しかし、そのような遺言があっても、相続人には遺留分制度がある。
公正証書遺言があっても、遺留分請求事件は起こせるし、実際に民事訴訟になるケースも多い。
従って。混乱を避けようとするのなら、公正証書作成に加えて
『遺留分に見合うモノとして○○には××を相続させる(あるいは既に渡してある)』と追記するべきであろう。