REITの取引

商業地の取引価格をREITが引っ張っているようだ。
しかし、よくよく考えてみると 更地に建物を建て、借りる人を決めた後に収益性を保証しているのであるから、確定利回りに近いものとしてREIT物件を買う投資家は考えるだろう。 効率的な建物を建てるノウハウ、

高い賃料を払える企業や借り主を捜してくるマネジメント能力、効率的に管理をする経営能力など、様々な能力を付加した後の価格がREIT物件の取引価格である。

したがって、REITの取引価格=更地価格+建物価格ではなく、上記のマネジメント利益が加わっていると言える。   更地価格+建物価格であるなら、その物件に優良な借り主が現れるまでは収入がないことになるから、その分は少なくとも価格を引き下げる要素になる。たとえ、現れても条件は悪くなるかもしれない。そうしたリスクを考えて購入するのか、確定利回りの物件として購入するのか、大きな差が出てくるだろう。 マンションの開発業者の利益と同様に、REITの取引価格も開発利益を考えるべきである。  その額が取引価格の1割程度でよいのか、それとも3割以上にまでなるのか、実証的に調べてみる必要があるのではないか。個別性があるとは言っても、ファンド業者が更地を買う入り口の価格と、収益物件としてできあがった出口の価格差を検証すべきであろう。 そして、分譲マンションとは違って、数年後に再度一括売却されることも考えられる。 そのときに、同じ率の開発利益が残っているのか、どうかも検討しておく必要があるだろう。 鑑定士の間で、この問題について議論が広まっていないうちに、単純に取引価格マイナス建物価格=土地価格であるとして、「価格上昇だ!」と叫んではいないだろうか
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