生前贈与の評価

平成7年に亡くなった人の相続の事件
問題点は二つありました。

ひとつは、
先祖代々の資産については長男がすでに取得していたこと
長男は、祖父から一代飛ばしで遺産を取得していたのです。父親には母屋と一部の財産しかありませんでした。
父親の遺産分割と祖父の遺産分割は関係がありません。考慮することもできないのです。
もうひとつの問題は、

次男の住んでいる家の土地は次男と次男の嫁が父親から生前贈与されていたことです。
次男は、「自分が贈与されたものをカウントするのはわかるが、嫁がもらったものは別」
「さらに受け取ったときの評価をそのまま計算しているのはおかしい」
といいます。

申立人(長女)に弁護士さんがついている事件ですが、その弁護士さんも
「長男が祖父からもらった財産をいくらかでも考慮しろ」と言います。
次男の嫁がもらった贈与は特別受益には当たらないことも、法律的に無理なことも諄々と説明しました。

しかし、
平成6年に貰った次男の土地評価をそのままに、他の資産は現在時価で計算して、次男にはすでに取得分はない、と主張します。
仕方がないので、裁判官と評議、
裁判官も、
「長男の問題は論外、次男の問題も贈与された財産を相続時点ですべて評価するのであれば、それはそれでかまわない。その上で、現在時点の評価をして分割案を計算することになる。いずれにしても相続時点、あるいは現在時点のどちらかですべての財産を並べることになる。」
と指摘しました。

当事者にも裁判官から説明をしてもらい、問題点がすっきりすることになりました。

いくら弁護士であっても、調停委員には決定的な説得はできない、ことを実感した事件でした。

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