なぜ速報値を発表しないのか

地価公示のことが週刊ダイヤモンドに載ったらしい。

平成19年1月1日現在の地価公示価格は2千人以上の不動産鑑定士が担当し、
すでに1月中に評価書は国土交通省に提出されている。

しかし、毎年3月末まで地価公示価格は発表されない。
確かに、個別の鑑定評価額がそのまま地価公示価格になるわけではないし、2人の鑑定士が出した鑑定評価額を基に土地鑑定委員会が個別地点の価格を決定するものである。

したがって、一部の地点の評価額は提出後に変更されることがあるかもしれないが、その数はあまり無いだろう。
個別の地点価格を発表することは差しさわりがあるかもしれないが、平均値は速報として発表しても良いのではないだろうか
都道府県別住宅地の平均変動率 や、代表的な商業地の変動率を速報する。
あるいは代表標準地の価格だけを先に決定して、速報しても良いだろう。

地価公示価格も経済指標として重要なものである。
その傾向の動きを注目している人は多いだろう。

週刊誌に情報がリークされたことは、ほかの見方をすると、経済指標を私物化していることにならないか。情報は、適時公開しなければならないのが近年の社会常識ではなかったか。

速報は速報として出し、経済統計として機動的な発表をするべきであろう。その上で鑑定書を十分チェックした後に、個別の地点価格を出せばよいのである。
多くの人は個別の地点の価格をすぐに知りたいのではない。取引を行うときに近くのものはどうなっているかを調べるが、通常は、具体的な地点価格よりも最近の傾向を知りたがっているのだ。
平均的な価格や平均変動率を1月中に速報するほうがネット化時代に対応している。国民経済統計も速報を出して、数ヵ月後に確定値を出している。地価公示だけが、紙ベースの提出書類を手作業で計算していた数年前と同じ感覚で、発表している時代ではない。

鑑定評価は(有)埼玉不動産鑑定所へ