相続で後悔しないように (22)

①相続税が払えなくなるかと不安

事前に準備できるのなら、相続税の課税対象となる資産を少なくする(分散させる)のが早道です。

そのために贈与する人が多いので、国は贈与税をかけます。贈与税は相続税の補完税といわれるゆえんです。

贈与税の課税、非課税の分かれ目はいくらでしょうか?

相続税法を見ると、基礎控除は60万円、それを超えると課税対象と記してあります。

第21条の5 贈与税の基礎控除
贈与税については、課税価格から60万円を控除する。

しかし、よく言われているのは「110万円」です。

そのからくりは租税特別処置法にあります。

租税特別措置法第70条の2の2 贈与税の基礎控除の特例
平成13年1月1日以後に贈与により財産を取得した者に係る贈与税については、相続税法第21条の5の規定にかかわらず、課税価格から110万円を控除する。この場合において、同法第21条の11の規定の適用については、同条中「第21条の7まで」とあるのは、「第21条の7まで及び租税特別措置法第70条の2の2(贈与税の基礎控除の特例)」とする。

したがって、1年間に、一人の人に対する贈与は110万円までは非課税となります。

「じゃあ、毎年1月1日のお年玉として、家族みんなに110万円ずつ配れば良いんだ」

数年後、税務署が調べに来ると、
「あなたは毎年計画的に贈与していますね。最初の時に計画した、と見なせますから110万円かける○年の贈与と認め、贈与税を納めてください」と言われてしまいます。

同じ時期に一定額は、計画的と見なされるでしょう。

それと、110万円ピタリではなく、111万円を贈与し、1万円の1割千円を納税しておくことも一つの方法です。将来、子どもの預金を親の預金と疑われたときに証明となります。

いずれにしても、長期間、準備をしておくのは悪いことではありません。

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