③家族で揉めないだろうか
義父の面倒を見た妻は---
Aさんの妻B子は、足の弱った義父Cさんの面倒に追われていました。ボケも始まっていますから、言葉で言っただけでは片付きません。
そんな或る日、Aさんは交通事故に遭い、あっけなく亡くなってしまいました。
『息子は死んだ。娘も遠くに行ってなかなか戻ってこない。ワシにはあんたしか頼る人がいない。孫と一緒に住んでいてはくれないか。その代わりワシの財産は皆あんたに残すよ』
『イヤですよ。財産のことなんか。もし、そんなことがあっても私は姉さんと半分、Aの貰い分だけで充分ですよ』
数年後、義父のcが無くなりました。
遺言書はありません。
財産は相続人である義姉だけののものになります。
B子さんが思っていた権利は、Aさんが生きているときだけ、Aさんの相続権のことです。Aさんがいない今、Bさんは相続人でもありません。
もしも、「B子さんのために残したい」、とCさんが思っていたのなら、B子さんを養子にするか、あるいは遺言書に『B子にこの家を渡す』と書いておくべきだったのです。