私有財産と公の援助

耐震強度構造計算の偽造が大きな問題となっている。
今回のマンション取り壊しと建て替えについて、国や市町村のお金がつぎ込まれるらしい。しかし、私有財産であるマンションについて、公的な資金が投入されて良いのだろうか。確かに、だまされた人は気の毒である。どうにかしてほしいというのはよく分かる。
資産のない売り主や建築士にいうよりも国に何とかしろ、というのは現実的に思えるのだろう。とはいえ、この被害者たちに公的資金を援助したら、阪神大震災や台風での被害者はどうなのだろう。手抜き工事で困っている住宅の所有者はどうなのだろう。

公的な支援とは、当面の住まいや相談事に対応することが中心であり、私有財産を援助することではないはずである。建て替えの資金に困っている人には無利息での融資をすべきである。新潟の地震の時にも、援助が話題になったが、公共団体は無利息の融資をすれば良いと思う。十年経っても返済をできずに不幸にも亡くなることになってしまったら、そのときは相続財産で精算すればよい。残された財産が無くて相続人が相続放棄をするのなら、そのときに資金回収不能として公共団体が債権を償却する処理をする。それまではあくまで、当事者に対して無利息での貸付金としておけばよい。 建て替えにかかる費用は、所有者に貸し付ける。担保は土地しかないから担保価値としては不足であろう。民間金融機関では二の足を踏むのは当然である。しかし、本人とともにマンション管理組合の連帯債務とすれば、マンション建て替え意外に使われることもないだろう。今回の問題は天災ではなく、債務不履行か、あるいは犯罪である。あくまで原因を作った当事者を追求して返済をさせるべきものである。そのときに個人よりも国や公共団体の方が追求は可能である。訴訟に訴えてでも回収すべきものである。  今、困っている人にはお金を与えるのではなく、困っている状況から脱却することの支援に全力を挙げるべきである。そうでなければ自立した国民ではなく、常に公共に依存する甘えた国民だけが増えてしまう。
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