Aさんのお話を聞いて、私はいくつかシミュレーションをしてみることにしました。
会社の土地は2カ所あり、合計すると2億円以上ありそうでした。駐車場が約1億円、工場事務所に使っている土地が1億2千万円くらいになりそうです。
2つの土地全てを渡すことにすると、貸付金はなくなります。しかし、それだけではなく、会社には、簿価である取得価格を差し引いた額が利益として計上され、税金がかかってしまいます。貸付金を全額無くそうとすると、土地の売却益に課税をされてしまいます。今回はどちらかの土地を当てて、貸付金は一部残す方がよいようです。
工場事務所に使っている土地が個人のものとなると、その上にある会社の建物の利用権の問題があります。一般的には、相当の地代と言って、評価額の6%程度の時代を支払うことになります。1億円の価値のあるものなら毎年6百万円の地代を支払うことになり、会社にとっては大きな金額です。
これにたいし、駐車場は別の計算ができそうです。300坪の土地は30台の駐車スペースです。周辺の月極駐車場は4千円くらいですから、月12万円、まとめ借りとすれば、10 万円でも良いでしょう。年間120万円の支払額です。会社にとっても厳しくなく、個人としても収入が多くなる心配もありません。
このケースでは、具体的な売買対象金額は9300万円程度、貸付金は約半分になりました。相続税路線価で計算すると7600万円くらい結果として、 1700万円以上の節税になったと言えるでしょう。Aさんが長生きをすればするほど、土地価格は低くなりそうですから、その額はより増えそうです。
(参考) 相続財産の評価 相続税申告時の評価
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