相続で後悔しないように (28)

①相続税が払えなくなるかと不安

先日、友人のTさんがやって来ました

「田舎の土地が5千3百万円以上の評価になり、相続税が大変だ。何とかならないか」

聞いてみると、そこは路線価が無く、倍率地域。
固定資産税評価の○倍という規定になります。

どうも、税理士さんには頼まず、本人申請をしたいようです。

持参された固定資産税評価の名寄せ帳を見ると、評価額が一筆は約2千5百万円、もう一つは150万円とありました。
相続税の財産評価基準書、倍率表を見ると『宅地1.1倍、田、畑いずれも2.2倍---』とありました。
対象地は、登記簿上畑です。Tさんは、倍率表が2.2倍だから2500万円と150万円の評価額それぞれに2.2をかけて合計5830万円。『これが相続税の評価になるんでしょう?』と言いいます。

Tさんに『この土地は何になっているんですか?』と尋ねると、
『ゴルフ練習場として貸しているんです』

名寄せ帳を見ました。
150万円の土地は、公簿地目畑の隣に、現況地目が宅地になっていました。
一方、2500㎡の土地は、公簿地目畑、現況地目雑種地です。

計算をしてみます。
150万円の方は面積で割ると、1㎡あたり8000円、もう一つは4800円。
宅地に比べて、雑種地は0.6倍の評価になっていました。

150万円はゴルフ練習場の建物分、それ以外はネットを張った練習場なのでしょう、.

私は言いました。
『Tさん、倍率表を見てください。宅地は1.1倍になっていませんか? 』
『固定資産の評価も相続税の評価も公簿の地目を基にするのではありません。現況の地目を前提に行います。この土地についても現況欄に基づいて固定資産の評価がされています。
宅地は評価額の1.1倍を適用します。次に雑種地ですが、雑種地は倍率表に乗っていません。しかし、ここで畑の2.2倍を雑種地の土地に使ったのでは、宅地の0.6倍の雑種地に2.2を掛けることになってしまい、雑種地の評価は宅地の1.32倍になります。宅地よりも雑種地の方が高い評価になってしまいます。
雑種地は宅地同様に、この評価の1.1倍を適用するのだと思います。そうすると

2650万円の1.1倍が評価となり、2915万円。あなたの処の法定相続人は3人ですから、8000万円までは非課税。
ざっと計算すると、当初の5300万円の時は相続税の総額が2300万円、今回の計算結果と、ゴルフ練習場が借地と見られるでしょうから借地権割合は3割か2割か。
2割となっても、残り8割が底地とされますから、評価が下がります。
そうするとおよそ3千万円、評価が下がったことになり、税額は1400万円くらいになるのではないでしょうか。多分900万円くらい税金が低くなりますよ。』

私のアドバイスを受けたTさんは、税務署の相談室に行くことにしました。

まだ申告期限になっていませんから、相続税額は確定していませんが、
「かなり減額されることになりそうだ」と嬉しそうな電話報告がありました。

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