相続で後悔しないように(12)

③家族で揉めないだろうか

旧家の中には、長男が遺産をほとんど取得し、嫁に行った姉妹には判子代を長男が支払うという例が、今でも結構聞きます。
「お母さんと実家やお墓を守ってもらうのだから---」

納得して遺産分割協議書に判を押す相続人も多いのです。

ところが、次に母親の相続の時となると、状況が変わることがあります。

「お母さんの遺産を分けるのに、法定相続分で分けるというのは大反対。お父さんの時に譲歩したのだから、私たち姉妹が全部もらいます。」

姉妹の言い分に長男が「分かった。それで良いよ」と言えればそれも良いでしょう。

しかし長男も法定相続分を主張したとき、裁判所はどう判断するでしょうか。

父親と母親が協力し合って作った財産が遺産。父親の時と母親の時を通算するべきだ。という姉妹の主張も理解できないわけではありません。しかし、父親と母親の相続は別の事件、別の問題なのです。一度終わった相続をやり直すことは不可能ではありませんが、相続人全員の合意が必要です。
長男が反対する以上、母親の遺産分割には父親の遺産分割のことは考慮できません。

父親の相続時にその旨を言っておき、母親が遺言を書いておかなければ姉妹の主張は実現しにくいのです。

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