相続で後悔しないように (その5)

③家族で揉めないだろうか

【遺産の大小と相続争いは関係がない】
「オレの処はろくな資産がないから、残された家族が相続争いするなんてことはないよ」

ほとんどの人がそう言いますが、家庭裁判所に持ち込まれるケースは必ずしも資産が多いわけではありません。
遺産が2,3千万円、相続税の申告義務のない家庭でも遺産分割で揉めることは多いのです。
むしろ遺産がそれしかないから揉めるのかもしれません。
典型的なのは、自宅の土地建物だけが遺産であるケースです。

遺産が自宅だけであり、そこに相続人の一人が住んでいる場合を考えてください。
住んでいる相続人が遺産を全て取得し、その他の相続人には相続分に見合った金額(代償金)を支払うことができれば問題はありません。
しかし、ほとんどの場合、そうした余裕資金はありません。

たとえば、兄弟2人のうち兄が親と同居し、親が亡くなり兄、弟だけが相続人というときに、兄はそのまま住んでいようとします。
弟からは「遺産の半分をお金でもらいたい。支払ってくれないなら売ってお金にして分けろ」ということが多いのです。
兄は「親の面倒を見てきたんだから、それ(寄与分)を考慮しろ」と言い、
弟は「親に生活の面倒まで見てもらい、家賃も支払っていないんだから、面倒を見たんではなく見てもらっていた、と言うべきだ」

遺産が不動産だけだから問題が生じたのです。

親としては、二つの方法が考えられます

兄が取得する不動産に見合うように、弟に何かを渡すことです。不動産が2千万円の価値があるのなら、2千万円の預貯金を用意できれば万々歳です。

あるいは、弟に事前に渡していた生前贈与のこと、兄が貢献した寄与分のことを遺言書に残しておく方法も考えられます。計算上ぴったり一致していなくても、親が自分の意思を遺言書に明らかにしておいた場合、ほとんどの子どもは親の言うことにしたがってもらうことが考えられます。

兄、弟も長年別のところで生活していると、「親がえこひいきして、その結果不公平になっていないか、あるいは、自分の知らないところに相手が親の財産を隠しているのではないか」と疑心暗鬼になります。

親は後々、揉めないように遺言書を残しておくことが重要なのです。

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