抵当証券を発行するときの評価

戦後、高度成長期には銀行融資のほとんどは企業向けでした。
個人が住宅ローンを使おうとして都市銀行に行ってもあまり歓迎されませんでした。提携不動産会社の融資を除くとほとんど借りることはできませんでした。

銀行は住宅専門会社を使って、少し高い金利でも個人の住宅やアパートにお金を貸す仕組みを作りました。その後、証券や社債など企業の資金ルートが銀行以外の直接金融にシフトしていくと、銀行も個人向けの融資を重視し始めました。昭和50年代は都市銀行や生命保険会社も個人ローンを拡大しました。その当時個人投資家の投資手段として注目されたのが、抵当証券市場です。

抵当証券は抵当証券発行会社が抵当証券を発行しますがその担保は個別の不動産です。お金を借りたい人は不動産に抵当権をつけてそのかわりにお金を借ります。抵当証券発行会社は抵当権の額面を小口化して多くの投資家に証券を買ってもらうことになります。その基になる抵当権の価値以上に証券を発行したのでは投資家が不利益を被りますから、抵当物件の価値を不動産鑑定士が評価し、その鑑定評価書を法務局が確認した後に抵当証券が発行されます。
不動産鑑定士は、鑑定評価書を発行するときに実印を押して印鑑証明書を添付します。そのくらい厳密に評価して後々の責任も明らかにしています。
現在は、土地価格の下落が続いているために抵当証券の市場も人気がありません。
今後、地価が安定、あるいは上昇してくると思われる都心部から、抵当証券発行の動きが出てくるものと考えられます。

抵当証券を発行するときの評価」への2件のフィードバック

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