同族会社間の取引
親族が役員である会社では、取締役の所有する土地に会社がビルを建てていたり、会社の建物を役員社宅にしているケースがあります。前のケースでは会社は地代を取締役に支払う義務があります。その地代が世間相場よりも多いときには取締役に対し
役員賞与を余分に支払っているのと同じことになります。
役員には所得税がかけられ、会社には地代の一部が費用として認定されなくなります(会社の課税対象利益が増えることになります)。後のケースでは役員から家賃をもらうべきであり、それが少なければ役員が得をしていると見なされ、所得税がかかります。
いずれにせよ、親族間の取引は勝手に決めることができるため、税務署はおかしな所得、おかしな費用がないかについて目を光らせています。取締役と会社の取引は利益相反行為にもなりますから、第三者の評価が必要になります。
役員が親族でないような大会社でも資本関係がある場合には、取締役が勝手に決めたのでないことを証明するように、第三者である不動産鑑定士が評価した価格(賃料)で決める必要があります。
たとえ、価格が相場並みであり、おかしなことがないということであっても、数年後に調査される税務調査や、株主代表訴訟のことを考えると、不動産鑑定評価をとっておくことは資料として重要なものになります。
売却損を作り、節税に生かす
バブル崩壊後、土地の価格が下がってくると、売却損が出ることがあります。この売却損は会社の損金として計上できます。利益が少なくなるのです。
そのため、儲かっている会社では、売却損の出る土地を関連会社や、役員に売却して売却損を確定します。不動産の価値を現在の地価にするのと同時に利益を少なくできるのです。
ただし、このときも適正な時価であることの証明が必要ですから、第三者の証明する鑑定評価書の出番です。
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