財産分与のための評価

夫婦が婚姻中に形成した財産は、
それぞれが自分の収入で購入したものが明らかでなければ、共有と推定されます。不幸にも離婚をするときにはそれぞれの共有財産を整理する必要があります。

 不動産の場合には、住宅ローンの借り入れを連帯債務としたり、税法上共有にしておいた方が有利なことが多いと言えます。そのため夫婦が住宅を共有としているケースが多くあります。
そうした夫婦では、共有になっている住宅をいずれか片方が住み続け、住宅ローンを払い続けることがあります。
その際に、住宅ローンの残り残高が少なくて住み続ける人が払い続けられるのであればよいのですが、収入の少ない妻が住み続け、住宅ローンは家を出ていく夫が支払う場合には問題が残ります。

住んでいない夫が返済を滞ると、抵当権の実行→競売の話になって、住んでいる妻の住宅が不安定になります。をれを避けようとして、住宅ローンの返済は夫の名義でも妻が支払い続ける人がいます。元夫が何もなければよいのですが、自己破産でもすると住宅ローンは即時に一括返済することを求められます。

後々のややこしい話は避けたいのですが、売却するときには住宅ローンは一括返済しないと抵当権が抹消できずに売却もできません。
売却するときには、譲渡所得税も問題になることがあります。
住宅である場合には居住用財産の特例(3000万円控除)がありますから利益が出ても課税されることはまれです。しかし、売却する相手が妻では適用されません。

夫婦の共有財産であった不動産を離婚に伴って、財産を分けるときにはどうなるでしょうか
財産分与によって取得する配偶者は、慰謝料であっても通常なら非課税です。贈与税はかかりません。一方、財産を渡す側には譲渡所得税がかかることがあります。離婚に伴って財産分与する金銭債務が生じますが、その債務の代わりに不動産を渡したことになり、譲渡所得の課税がされることになるのです(昭和50.5.27最高裁)
もっとも、財産を渡した人が、それまで居住していたのであれば、居住用資産の売却に当たり3000万円までは非課税になり、譲渡所得税はゼロになります。前項の妻への売却とは違い、離婚した妻は他人ですから特例が適用になるのです。

離婚に伴う財産分与が鑑定評価の話題になるときは、
1.調停や訴訟の中で財産分与の価値を把握したいとき
2.元妻に対する譲渡は、贈与でなく認められますが具体的に客観的価値を求めたいとき
などがあげられます。

鑑定評価は(有)埼玉不動産鑑定所へ

 

財産分与のための評価」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 鑑定評価? | 【埼玉不動産鑑定所】不動産鑑定とコンサルタント

  2. ピンバック: 不動産鑑定士の仕事は? | 【埼玉不動産鑑定所】不動産鑑定とコンサルタント

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