同一生計親族間の地代

相続に伴い、土地を子どもが取得、その上の賃貸アパートを親が取得するとき、

賃料を支払わず、使用貸借にするケースが多いでしょうが、アパートの賃料収入が親の手元に積み立てられ、2次相続の財産が増えてしまいます。

このときに、相当の地代を支払う方が得になることが多いようです。

土地の賃貸借は借地権を発生させないようにするには、相当の地代(時価の年6%)を支払うことが税法上必要になります。
親子で生計を一にする場合には、事業に伴って親が子に支払った費用は子の所得になりません。反対に親の支払った地代はアパート賃貸の経費とすることが認められません。親子間のお金の移転はなかったものとされます。その結果、子どもは受け取った地代を所得としない、贈与税無しで毎年地代相当額が親から子どもに移転することになります。
たとえば、父親から子どもが時価1億円の土地を取得し、アパートを母親が取得した場合、母親は1億円の6%、600万円を相当の地代として、毎年子どもに支払います。子どもはそれにかかる所得税はありません。母親は600万円を経費とできないため、その分所得が増加、アパートにかかる所得税は若干増えます。母親のキャッシュフローとしては600万円以上が毎年少なくなります。結果として2次相続時の母親の財産は少なくなるでしょう。

一方、アパートという収益物件は高収益を上げていると、母親の財産が増えてしまうことがあります。長生きをすると節税対策が裏目に出ることもあるのです。この方法だけを採用するのではなく、債務を増やしたり、非課税の贈与方法を利用したり、相続財産額を減らす工夫は必要です。

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